「総務やさん」第1032号

●EV不人気は何故?

・・・・(株)総務システムサービス
代表取締役 伊藤 碩茂(ヒロシゲ)

  一時期やたらと持ち上げられていた電気自動車(EV)ですが、現在は世界的に人気が落ちているようです。実際、筆者の身の回りでもEVに乗っている方はあまりいない印象です。EVの人気低迷、そしてガソリン車の人気が復活している理由を考えてみました。

1.充電インフラの不足
 多くの地域では充電スタンドが不足しています。正直、これが一番の理由ではないでしょうか。特に日本では、都市部以外はどうしても車社会になりがちです。EVは近所しか運転しないような人にはよいかもしれませんが、長距離移動には非常に不便です。まだEVが少数派である現在、ガソリンスタンドに充電スタンド併設することは費用的にも極めて難しいと考えている会社が多いと思われます。

2.バッテリー技術の限界
 EVのバッテリーの走行可能距離は依然としてガソリン車に比べて劣っている場合があるため、長距離旅行をする際に不安が残ります。今後も、EVの用途としては、買い物や配送などの短距離に限定される期間が長いと考えられます。

3.価格の問題
 EVは初期投資が高いため、予算を気にする消費者にとっては魅力が薄くなります。まだまだ主流であるガソリン車は一般的に安価なモデルが多く、手に入れやすい状況にあります。市場ではガソリン車の方が圧倒的に多いため、同価格帯で選択肢が多いというのも魅力の一つでしょう。

4.リセールバリュー
 EVのリセールバリューが不透明であるため、将来的な資産価値を考えるとガソリン車の方が安心感があります。中古車市場ではEVは極めて不人気です。

5.環境意識との葛藤
 昔に比べて環境問題を意識する人が多くなっている昨今ではありますが、前述の1~4をトータルして考えた場合、環境問題よりも自分の都合を優先してガソリン車を選ぶ人が多いのは仕方のないことだと思われます。特に燃料の価格が安定している場合、経済的にガソリン車を選ぶのは当然でしょう。

 これらの要因が複合的に影響し、ガソリン車の人気が復活していると考えられます。


●腹が減っては戦ができる

・・・・三島 京子(みしまきょうこ)

 「腹が減っては戦ができぬ」という言葉を聞いたことがあるかと思います。これは「空腹では何をするにも力が入らず、良い結果を得ることができない。何事もまずは腹ごしらえをしてから仕事にかかることが重要である。」という意味があります。

 しかしながら、食事をたっぷりとると、食後の眠気に襲われて集中力が欠けてしまう、作業が手につかないといった経験をしたことがある人も多いのではないでしょうか。
 今までは、空腹の状態は体にとってベストではないと考えられがちでした。しかし実は、空腹時こそ最大のパワーが出るタイミングだという説もあるようです。
 肉食動物は空腹時に狩りをし、満腹のときは寝転がっています。人間も肉食動物と同じで空腹の状態だと集中して働き、満腹の時は休んで消化に集中するのが自然なありかたなのです。

 ではまず、どうして食後に眠くなるのでしょうか。
 通常は食後に血液中のブドウ糖量が上昇します。つまり「血糖値の上昇」です。その結果、血糖値を元に戻そうとしてインスリンが分泌され、血液中のブドウ糖が筋肉や脂肪に吸収されます。この働きによって「血糖値の低下」が引き起こされます。
 食後の血糖値の急上昇とそれに伴う血糖値の急低下。これが満腹時に集中できなくなる理由と言われています。

 次に空腹時のメリットを挙げると「記憶力が高まる」「集中力が高まる」の二点があります。空腹によるイライラは集中力を高めるのに最適なものとも言われているそうです。動物はもともと飢餓状態になると集中力と緊張感が高まる生き物です。飢餓状態におかれたら動物の脳の中では「血糖値が下がっている。獲物を捕まえろ!」という指令が出されます。それによって集中力と緊張感がもたらされるのです。

 仕事や勉強にもこのような適度な飢餓状態を導入すると、生産性を伸ばすことができるといえるのではないでしょうか。例えば、「この書類を作り終えたら、ごはんを食べよう」と決めることで、書類作成に集中できて仕事の効率に繋がるかもしれません。
 ただし、空腹感には個人差があるため、過度な空腹は注意が必要です。健康を損なうことがない範囲で活かす必要があります。

 秋が深まり、栗やかぼちゃの美味しいお菓子が目に付く季節になってきました。「食欲の秋」を楽しむのは良いことですが、食べ過ぎも空腹すぎも避けるべきです。自分にとって最適な空腹と満腹のバランスを見つけ、最高のパフォーマンスを発揮できるようにしましょう。