「総務やさん」第1021号

●スーパーフラットの時代

・・・・(株)総務システムサービス
代表取締役 伊藤 碩茂(ヒロシゲ)

 現代美術界の最前線で活躍し続けている村上隆氏の大規模な個展が京都市の京セラ美術館で開催されています。海外での活動が中心となっているなか、国内で個展を開くのは8年ぶりだそうです。

 村上隆が掲げているコンセプト「スーパーフラット」は、日本の現代美術における重要なコンセプトの一つです。個展概要では、次のように述べられています。
“「スーパーフラット宣言」は、現代美術シーンに重要な影響を及ぼしました。その考えは、日本の伝統的な絵画表現とアニメや漫画、ゲームに代表される大衆文化を結びつけただけでなく、戦前から戦後の日本人の感性の有り様や社会の様相、さらには資本主義経済や政治、宗教をもフラットに捉え、あらゆる手法を用いて創作活動全体に取り込むことで、多種多様な作品を生み出し、アートの価値や本質的な意味を問いかけてきました。
 そのキャリアは、欧米が事実上の規範となっている国際的なアートシーンに、日本から独自の視点で挑み、刺激を与え続けてきた営みであると言えます。”

 「スーパーフラット」の重要な要素と影響については、特に以下の点が新しいと思います。

・伝統とポップカルチャーの融合
 村上隆は、伝統的な日本の美術や美学と、現代のポップカルチャーを融合させることで、新しい芸術の可能性を探りました。これにより、伝統的な芸術形式に新しい解釈と意味が加わり、若い世代にもアクセスしやすくなりました。

・大衆文化へのアプローチ
 アニメやマンガ、広告など、大衆文化の要素を芸術作品に取り入れることで、一般の人々にも興味を持ちやすい芸術にするとともに、単なる美術館やギャラリー内での展示にとどまらず、普段美術や芸術に関心の薄い一般層にもストリートアートや広告などで作品を届けられるため、社会全体にその影響を広げました。

・国際的な影響
 アメリカやヨーロッパを中心に、ポップアートとして高く評価された理由は、このコンセプトが作品に深い意味と価値を与えたからでしょう。世界各地で展示やイベントが行われ、日本のポップカルチャーが世界に広がる一因ともなりました。

 村上隆の「スーパーフラット」は、芸術の枠を超えて社会全体に影響を与え、新しい視点やアプローチを芸術と文化にもたらしました。これを生で見られるのは貴重な機会だと思います。


● スペインからのパリ

・・・・野田 貴仁(のだたかひと)

 7月14日、テニスのウィンブルドン決勝戦が行われました。
 ウィンブルドン選手権は、テニス四大大会(グランドスラム)の一つで、伝統的な大会として広く知られています。ウィンブルドン選手権は、イギリス・ロンドン南西部のオールイングランド・ローンテニス・アンド・クローケー・クラブで開催されます。四大大会唯一の天然芝コートで、そのセンターコートは年間でウィンブルドン選手権でのみ使用し、それ以外の期間は芝の手入れだけが行われているというのですから何とも優雅な話です。

 さて、2024年の男子シングルスでは、第3シードのスペインのカルロス・アルカラス選手が第2シードのノバク・ジョコビッチ選手をセットカウント3-0で破り、2年連続2度目の優勝を果たしました。21歳と非常に若いアルカラス選手ですが、これでグランドスラム4勝目を手にしたことになります。

 盛り上がったのはテニスだけではありません。

 同じく7月14日、サッカーのUEFA欧州選手権決勝戦も行われました。
 UEFA欧州選手権は4年に一度行われる、サッカーのヨーロッパ最強国を決める大会です。フランス・パリで行われた今年のユーロ2024ですが、決勝でスペインがイングランドを2-1で下し、12年ぶりに、そして欧州最多となる4度目の優勝を果たしました。

 この連休はスペインが名を馳せた週末でした。
 そして、7月26日からはパリでオリンピック競技が始まります。

 オリンピックのテニス競技は全仏オープンと同じ会場(スタッド・ローラン・ギャロス)で行われます。四大大会で唯一のクレー(赤土)コートです。クレーコートは、ボールが弾む際に減速して高く弾みます。滞空時間が長くなるので、追いかけて返球する粘りプレーが有利です。反対に芝では、減速せず弾みも低いので、サーブやボレーなど早い展開のプレーが有利となります。選手たちは各大会に向けて、コートの種類による球質の違いにあわせて調整する必要があります。

 例年、5月と6月に跨いで全仏オープンが、6月と7月を跨いでウインブルドンが開催されており、選手たちは、この2週間ほどの短期間でクレーへの順応から芝への順応に切り替えてプレーしています。
 さらに今年は、もう一度クレーに順応してオリンピックを戦うわけです。いつもよりも過酷な調整です。

 クレーコートの全仏オープンでは、しばしば大きな番狂わせが起こると言われています。同じコートで行われる今年のオリンピックテニス競技には、どんな展開が待っているのでしょうか。