「総務やさん」第1083号

●円安はデメリットよりメリットが大きい?

・・・・(株)総務システムサービス
代表取締役 伊藤 碩茂(ヒロシゲ)

 円安が進み、ニュースを騒がせています。円安は必ずしも「悪い」とは限らず、立場や状況によって評価が分かれます。とりわけ現段階では、メリットがデメリットを上回るとする見方が広がっています。そう言われている根拠を改めて整理してみました。

1.円安のメリット
 海外との関係により、円安では以下のようなメリットが考えられます。
・輸出企業の収益改善
 円安になると、海外販売価格は据え置きでも円建て収入が増えやすく、特に自動車・機械・電子機器など輸出比率の高い産業で業績改善が期待されます。
・グローバル企業への恩恵
 海外子会社や資産からの収益を円に換算する際、円安により為替差益が増えることになります。
・観光・投資・所得収支へのプラス効果
 外国人観光客にとって日本は「割安」な国となり、インバウンド需要が拡大する可能性が高くなります。また、海外からの配当や利益送金の価値も高まります。

2.円高時代の反省と構造の変化
 過去の円高局面では、企業が競争力を失い、工場の海外移転や雇用縮小が進みました。
 現在は多くの企業がグローバル展開を前提にしており、単なる「輸出競争力」ではなく「海外収益の還流」を重視する傾向にあります。円安は構造的に利益拡大のチャンスとなりやすいのです。

3.政府・専門家の見解
 最近の政策論議では「円安の恩恵を最大化し、輸入コスト増は財政政策で補うべき」との立場が見られます。
 つまり「円安そのものの善悪」ではなく、「他政策と組み合わせてメリットを活かす」という意見が強まっています。

4.デメリットと留意点
 もちろん円安には以下のような負の側面もあります。

  • エネルギー・食料・原材料など輸入品価格の上昇
  • 家計負担増、実質賃金低下による消費減退懸念
  • 為替変動による企業・家計の不安定化
  • 恩恵を受けにくい業界(国内小売、輸入依存企業)への打撃

5.なぜ“現段階”でメリットが強調されるのか
 今のグローバル社会では、世界経済とのつながりを切り離すことはできません。多くの日本企業が海外の取引先を持ち、円安によって輸出競争力や海外収益の還流効果が高まり、研究開発投資や新市場開拓など企業の成長戦略に直結しています。
 そのため、過去の円高時代の教訓を忘れず、デメリットも踏まえた上で、今の日本経済の持続的成長戦略の一つとして円安を“利用”した方がよいのではないかという風潮があるのです。

 円高円安の問題は、安易に“こちらの方が良い”と言い切ることはできません。しかし、今の円安は、低迷している現在の日本経済の成長を後押しする要素として考えられているようです。


●もうすぐクリスマス

・・・三島 京子(みしまきょうこ) 

 12月に入ると毎年、街がクリスマスムードになってきますね。街並みやお店の中の飾りが変わるのを見ると、大人になってもやはりワクワクしてきます。最近はハロウィンも盛り上がりをみせてきていますが、経済効果からみるとクリスマスが圧倒的に高い結果となっているそうです。

 さて、クリスマスといえば何を思い浮かべますか。
 サンタクロース、プレゼント、チキン、クリスマスケーキ……などいろいろと浮かんでくると思います。今「クリスマスケーキ」と言われてどんなケーキを思い浮かべましたか?きっと「いちごがのった白いクリームのクリスマスケーキ」をイメージした人が多いのではないでしょうか。皆さんが思い浮かべたこのクリスマスケーキは、実は日本しか食べないと言われています。

 海外でもクリスマスケーキでお祝いすることはあるようですが、ケーキの種類が違います。調べてみるとフランスはブッシュドノエル、ドイツはシュトーレン、イタリアはパネトーネ、イギリスはクリスマスプディングなど各国さまざまです。実際に食べたり聞いたりしたことがあるものもあれば、初めて知るものもありました。

 もともとクリスマスは海外から入ってきた文化のはずなのに、なぜ日本はいちごがのった白いクリームのクリスマスケーキなのでしょうか。このケーキを見慣れた人からすると、いちごの赤とクリームの白の色合いが、雪とサンタを連想させてぴったりだと思いますよね。
 実はお菓子会社が販売を始めたことで広まったと言われています。1950年代頃から広まったと言われているため75年も続いていることになります。企業が仕掛けたものが今や当たり前となっています。

 数年前からは、節分の日に恵方巻を食べることが定番化され始めました。皆さんも記憶に新しいかと思います。もともとは関西で食べられていたそうですが、今では全国に広まっています。

 どちらにも共通することは、家族で食事を楽しめるということでしょうか。次はどんなブームがやってくるのか、期待が膨らみますね。