「総務やさん」第1085号
●中国経済は危険な状態か?
・・・・(株)総務システムサービス
代表取締役 伊藤 碩茂(ヒロシゲ)
中国経済は長年、世界成長を牽引する存在感を示してきました。しかし近年その勢いに陰りが見えはじめていると囁かれています。現在の中国経済を取り巻くリスクを考察してみました。
1.中国経済の現在の状況
中国は世界第2位の経済大国として成長を続けていますが、2025年のGDP成長率は例年より低めの水準が続いています。「危険水域」とはいえないものの、成長は鈍化しているようです。
特に不動産市場の停滞が長引き、住宅価格の下落や在庫増といった問題が依然として深刻です。これは中国の消費意欲を冷え込ませている原因のひとつといえるでしょう。さらに家計の消費が十分に伸びないため、経済の内需主導への転換が遅れているといわれています。
現在、少子高齢化や都市化の鈍化、国有企業の弱さなど、中長期的な成長鈍化要因が存在しています。専門家の中には、かつての日本型「失われた30年」のような低成長時代入りを懸念する声もあるようです。
2.日中関係の悪化と経済への影響
日中関係の悪化は貿易・企業活動への逆風となり、日本企業の中国での事業にも影響を与えています。輸出・生産の調整や売上低迷が一部で報告されています。
2024年時点でも日中間の貿易額は数百億ドル規模で、貿易依存は依然として大きく、関係悪化が続くと両国経済にとって直接的なダメージになるとの指摘があります。
政治的緊張が進むと、観光・消費への波及も懸念されます。中国からの観光や消費が落ち込む可能性があり、日本経済の成長率に影響が出るとの予想もあります。
3.世界情勢と中国経済の海外リスク
中国は米国などと貿易摩擦が続いています。輸出依存型経済モデルは世界情勢の影響を受けやすく、IMFは今年の年次審査でついに警告を発しています。
中国経済が直面する課題は、一時的な景気循環ではなく、より深い構造転換の痛みを伴うものです。今後、中国がどのような政策選択を行い、どこまで市場の信頼を回復できるか冷静に見極めることが重要です。
●飲み会の季節
・・・山中 一(やまなかはじめ)
年末年始は忘年会・新年会や飲み会が増える季節です。みんなで楽しく歓談をし、気持ちよく解散できれば何よりですが、このような場におけるリスクにも注意しなければなりません。
飲み会の場で特に注意したいのは、アルコールです。
お酒を飲むことで引き起こされる懸念事項としては「飲酒運転」と「ハラスメント」があります。
まず飲酒運転についてですが、今は「飲んだら乗るな。乗るなら飲むな。」が世間に浸透しているため、事前に送迎担当や交通手段を決めていれば、わざわざ飲酒運転をしようと思う人はいないでしょう。しかし、万が一が起こる可能性は考えられます。
飲酒運転が他人に害を及ぼす危険性は言わずもがなですが、もし会社の飲み会の後に飲酒運転があったと発覚した場合、その会社の信用も失われてしまいます。飲み会に参加する人は、乾杯の前に周囲の人がどんな交通手段で来ているのかを確認すると良いでしょう。
考えたくありませんが、もし「1杯くらい大丈夫」と言うような人がいたら下記(アルコール健康医学協会記事抜粋)をご覧ください。
Q.警察の取り締まりが厳しくなっているが、ビール中びん1本くらい飲んでも大丈夫?
A.ビール中びん1本で、「酒気帯び運転」になります。運転するときは、一杯のお酒も飲んではいけません。
道路交通法では呼気1リットル中0.15mg以上アルコールを検知した場合、「酒気帯び運転」としています。これは、どのくらい飲んだ場合でしょうか?
1単位(ビール中びん1本、日本酒1合、焼酎0.6合)のアルコールを飲んだときの血中アルコール濃度は、0.02~0.04%です。これは、呼気1リットル当たりのアルコール量に換算すると、0.1~0.2mgに相当します。つまり、1単位のお酒を飲んだだけで、「酒気帯び運転」の基準値を超えることになります。しかし、これらの数値は個人差が大きいこともあり、お酒を一杯でも飲んだら運転はやめましょう。
また、アルコールが入って気が大きくなることで、ハラスメントが起きる危険性も考えられます。飲めない・飲みたくないと言っている人にお酒を強要する等のアルコールハラスメント、性別問わず隣に座った際に同意なく身体に触れる等のセクシャルハラスメント、酔ったことで(業務上の適正な範囲を超えて、必要がない上に過度な)大声での叱責をする等のパワーハラスメントなど……普段はしっかりしている人でも、アルコールによって分別がつかなくなる可能性があります。問題が起きた後「酔っていたから」という言い訳は通じません。
飲み会は最初から最後まで全員が楽しく過ごせるよう十分注意をしましょう。
【参考】
1.アルコール健康医学協会「飲酒運転防止」
https://www.arukenkyo.or.jp/health/prevention/
