「総務やさん」第1061号
●反知性主義について
(株)総務システムサービス
代表取締役 伊藤 碩茂(ヒロシゲ)
トランプ大統領のハーバード大学への対応を見ていると、アメリカの歴史においてしばしば見られる反知性主義を感じます。
「反知性主義(Anti-intellectualism)」は、特にアメリカ社会を理解するうえで鍵となる文化的・思想的要素のひとつと言えるでしょう。
反知性主義とは、知性や学問などの専門的知識に疑念を抱いたり、軽視したりする姿勢を指します。具体的には、いわゆる知識人(大学教授、専門家など)を「エリート」として敬遠し、感情や直観を重視する傾向を持つ思想です。
アメリカでは、反知性主義は長い歴史を持っています。それには、以下のような背景が関係していると思われます。
1.宗教的背景
初期のアメリカ開拓民の多くはピューリタンなどのプロテスタント系で、個人の信仰と聖書の“素朴な”理解を重視しました。形式張った神学や哲学的思弁は、時に“腐敗”と見なされました。
2.民主主義の価値観
アメリカでは「誰もが平等」という民主主義の価値観が強く、専門家や知識人が上から目線だと受け取られると反発されやすい風土があります。これは、「常識的な普通の人」の視点が尊重される文化ともいえます。
3.実用主義(プラグマティズム)
アメリカ哲学の主流は「実用性(使えること)」を重視するプラグマティズムです。抽象的・理論的な学問より、役に立つ技術や現実的な知識が重んじられる傾向があります。
トランプ大統領の政治スタイルは、現代における反知性主義の象徴として語られることが多くあります。その背景には、以下のような特徴が見られます。
- 学歴や専門知識を持つ「エリート」層への敵対心
- 自らの「直感」や「常識」への過度な信頼
- 科学、メディア、学術機関に対する根深い不信感
特に彼がハーバード大学出身者を始めとする、高学歴・高収入の人々を”庶民の声を無視する支配層”という皮肉を含んだ「東海岸の知識層(East CoastElite)」と呼んで、あからさまに批判することで、多くの一般市民は、自分たちの「疎外感」や「反発」を“代弁してくれた”と思い、さらにトランプ大統領を支持する、という形になっていると思われます。人に手厚い措置を」と答弁しましたが、消費税の減税を行わないのであれば次にどんな政策を打ち出すのか、注目が集まります。
●夕暮れに現れる小さな虫の集団の正体は
・・・・河合 めぐみ(かわいめぐみ)
6月になり田植えもひと段落した頃でしょうか。
夜になると、耳を澄ます必要などないほど大きなカエルの合唱が聞こえてきます。月に照らされた水面はキラキラと光り、道なのか田んぼなのか、危うく思うこともしばしばあります。
水田が原因かどうかわかりませんが、夕暮れ時になると小さな虫の集団に出会うことはありませんか。
これは「蚊柱」と呼ばれていて、正体はユスリカの大群なのだそうです。
大阪万博会場で大量発生して問題視されている「ユスリカ」ですが、実は誰もが遭遇したことがあるであろう身近な昆虫だったのです。
ユスリカは、小さなハエ目の昆虫で、大きさは2~10mm程度、水辺や湿地など人間が居住する地域でもよく見られます。成虫は蚊とよく似た姿をしていますが、蚊のように人や動物を刺したり、血を吸うことはありません。しかし、ユスリカの死骸が原因で、アレルギーを引き起こすこともあるので注意が必要です。
主に群れを成して空中を飛び回ることが特徴で、特に夕方から夜間にかけて活発に活動するそうです。夜になると店舗の明かりや外灯に集まっている光景をよく目にすると思いますが、これは、光に誘引される性質を持つためです。
大阪万博会場では、特に「大屋根リング」や「ウォータープラザ」周辺においてユスリカの大量発生が報告されています。これらのエリアは水辺が近く、さらに夢洲という人工島の特性上湿気や温度が高いことが、大量発生の理由とされています。
また、夕方から夜にかけてユスリカが群れを成して飛び回るため、その時間帯に訪れる来場者への影響が深刻です。特に、顔や耳周りに侵入する感覚や、食事の最中に虫にまとわりつかれる状況は不快そのものです。この情報を事前に知って虫除けスプレーを用意する来場者もいる一方で、突然の群れに驚き、開催地周辺を避ける声も増えているようです。
昆虫の専門家によると、蚊柱はユスリカのオスが集まってメスを呼び込む婚活パーティーの会場なのだそうです。寿命は、短いと一日、長くても数日程度しかなく、その間にパートナーを見つけて子孫を残さなくてはならないため、必死なんですね。だからといって、大目に見る、なんてことは出来ません。
日本国際博覧会協会はホームページ上に「ユスリカの大量飛来についての現状と対策状況」について載せています。侵入防止策、清掃、消毒を実施、今後は専門業者と有効な対策について調査を進めていくとのことです。
魅力がたくさんある大阪万博です。
多くの人が安心に快適に過ごせる場所となりますように。
参照:RSK山陽放送「蚊柱(かばしら)」はなぜあんなに密集するの?
運が悪いと巻き込まれる ユスリカ対策を害虫駆除の専門家が伝授
https://newsdig.tbs.co.jp/articles/rsk/1801184?page=2
生態と種類を知る|ユスリカ|ウルトラ害虫(がいちゅう)大百科
https://www.kincho.co.jp/gaichu/seitai/yusurika.html