「総務やさん」第1087号

●今年の高市政権の展望

・・・・(株)総務システムサービス
代表取締役 伊藤 碩茂(ヒロシゲ)

 2026年の高市政権の展望について、昨年の状況を見つつ、改めて考えていきたいと思います。

1.政権の現状と今年の位置づけ
 高市総理は2025年10月に就任し、2026年は政権としての「本格的な成果」が求められる1年となります。支持率は高水準でスタートしているようですが、それが「期待」から「評価」につながるかが焦点です。

2.経済政策
 ポジティブな見方としては、大規模な経済対策が市場の追い風となり、株式市場は政策期待で堅調継続との予想が出ています。高市政権の政策が中長期的な株高を支えるとの声もあるようです。また、大企業や個人投資家の間では、減税や成長分野(AI・半導体等)への投資促進が期待されているとの調査結果もあります。
 一方でリスクとしては、物価高対策の効果が十分でないとの批判も既に出ており、物価上昇の中で国民の生活実感が改善されるかが試金石となると思われます。巨額の財政出動に対しては財政規律の懸念もあり、「日本版トラス・ショック」をどう回避するかが課題です。

3.解散・総選挙の可能性
 2026年は衆議院解散と総選挙の観測が取りざたされています。高い支持率を背景に解散時期を探る動きがあり、秋頃が一つの勝負どころと見られているようです。与党内では連立関係や公明党離脱の影響などもあり、議席確保の戦略調整が課題となるでしょう。

4.外交・安全保障
 安全保障面での強化について、自民党としては日本の防衛力強化を進める方針で、2026年度も過去最大規模の防衛予算を計上しています。
 しかし、対中国・対韓国関係では緊張や懸念があり、企業や産業界の外交リスクとしても指摘されています。

 総括として、今年は「成果を見せられるか否か」の1年であり、政策実行の速度と国民の生活実感、そして選挙戦略の3点が政権運営の成否につながるのではないでしょうか。


●フィジカルAI

・・・野田 貴仁(のだたかひと) 

 生成AIの次に来る動くAIとして「フィジカルAI」という言葉が急速に広がっています。生成AIでは文章や画像を生み出していましたが、そこから実世界の設備やロボットを動かす段階へと進化し始めているようです。2026年のキーワードになると見られています。

 フィジカルAIは、生成AIの知能をクラウドの外へ持ち出し、センサーやロボットなど実世界の装置と統合して動かす技術です。これにより、AIは文章生成だけでなく、現場の状況をリアルタイムに理解し、判断し、実際に動作まで行えるようになると言われています。
 フィジカルAIによって異常検知、在庫管理、搬送、品質チェックなど、従来は人が判断していた作業が自動化され、現場のスピードと精度が大きく向上すると予想されます。フィジカルAIが実用化されたら、現場オペレーションは激変するでしょう。

 ただ、AIに任せきりにすることはできません。フィジカルAIは、定量データの解析やパターン認識、反復作業の自動化に強みがあります。一方で、曖昧な状況判断や、価値観・倫理を伴う意思決定は依然として人の役割です。AIにはAIが得意な領域を任せ、人は例外処理や顧客対応、改善活動に集中することで、現場全体の生産性が最大化されるのではないでしょうか。
 AIを利用することで、人がより高度な判断に集中できる環境を整える……この共存の設計が鍵になると思われます。

 フィジカルAIは高額な印象がありますが、近年はクラウド連携や低価格センサーの普及により、スモールスタートが可能になっています。まずは単一工程の可視化や異常検知など、ROIが明確な領域から始め、段階的に拡張することも可能です。無理なく投資回収しながら現場の自動化レベルを高められるようです。

 2026年以降、現場は「人がAIを使う」から「AIが現場を運用し、人が監督する」形への移行が進み始めるでしょう。設備の自己診断、在庫の自動最適化、ロボットの協働などが標準化し、現場の意思決定はよりデータに基づく自動処理になっていくと思われます。フィジカルAIは単なる効率化ではなく、現場の働き方そのものを再定義する存在になるかもしれません。