「総務やさん」第1073号
●政治的右傾化の世界的潮流
・・・・(株)総務システムサービス
代表取締役 伊藤 碩茂(ヒロシゲ)
近年、政治の右傾化は世界の多くの国で顕著に見られる現象となっています。以前メルマガで上記の旨を記載したことがありますが、この短期間でよりその潮流が高まっているようです。
以下に、右傾化の背景と主な特徴、国別の動向、そしてその影響について整理してみました。
世界的な右傾化の背景は以下が考えられます。
(1)経済的不安と格差
グローバル化により労働市場が不安定化し、中間層の没落や地方の経済衰退が進行しています。この不安感が、移民・外国人労働者への不満を助長する結果となっています。
(2)アイデンティティの揺らぎ
多文化主義や急速な社会変化に対する反発が「伝統的価値観」や「自国文化」を過度に守ろうとする動きを活発化させている状態です。
(3)SNSとポピュリズム
SNSにより感情的で極端な言説が拡散されやすくなります。「反エリート」「反グローバリズム」などの主張が支持を集めやすくなっています。
報道などでは当たり前のように「右傾化」と言っていますが、具体的な特徴を改めて列挙してみます。
- 国家主義(ナショナリズム)の強調(自国第一、愛国心、主権の尊重)
- 反移民・反多文化主義(難民・移民の制限、国境の強化)
- 伝統的価値観の擁護(家族観、宗教、性の役割などへの保守的姿勢)
- 反エリート・反体制(既存の政治・メディア・知識層への不信感)
アメリカについてはよく報道されていますが、他の国の情勢についても簡単に見てみます。
- アメリカ(「アメリカ・ファースト」保守層の支持は根強い)
- フランス(欧州議会選で右派が第1党となり、国内政治にも影響)
- イタリア(メローニ首相率いる極右政党が政権を獲得)
日本では自民党政権下で憲法改正や安全保障強化が進行していました。先日の参議院選では参政党が躍進しています。
今の世の中は、世界的に見てもあまり安定しているとは言い難い状態です。このまま一方に傾けば、次のような問題が出てくる可能性が考えられます。
- 民主主義の揺らぎ・・・報道の自由や司法の独立が脅かされる懸念がある
- 国際協調の後退・・・気候変動、人権問題での分断が進行しつつある
- ポピュリズムの拡大・・・合理的な議論より感情的な動員が優先されやすい
右傾化が一時的な現象か、構造的な変化かという議論は続いています。若者層の価値観やリベラルな潮流も並行して存在する中、経済格差や社会不安などが解消されなければ、今後も右傾化の流れは続く可能性があります。
●身近なAI利用
・・・・山中 一(やまなかはじめ)
昔は“よくわからなくて使えないもの”と思われていたAIですが、2025年にもなるとかなり日常生活に溶け込んできたように感じます。仕事でAIを利用しはじめた企業も多くなってきたようです。
“AI利用”というと「デスクワーク」や「パソコン作業」の補助などのイメージを持っている方も多いかと思いますが、その活躍分野は多岐に渡ります。その中でも、AIによる画像解析は既に多くの場所で利用されているようです。
例えば、身近なところでは冷凍食品で有名なニチレイの「世界で一番売れている炒飯」。今までは人力で行っていた焦げを除去する作業を、AIとロボットに置き換えたそうです。
「作業が数時間続くと、どうしても集中力が切れたり、精度が落ちたりしてしまいます。一方、AIの場合はずっと同じ確率で取り続けられるのが大きなポイント」といいます。対応する人の技術差が埋められなかった状況が、AIの導入により一定の品質を保つことができるようになったそうです。
さらに、画像解析技術は時間の短縮にもつながっています。
株式会社全国農協食品では、商品受注の9割はいまだにFAX。月に2,000件を超える受注をなんと5人で処理していたといいます。業務の量が多く残業が発生すると、従業員の精神的な負担も倍増していたそうです。
そこで、FAXを『発注書AI-OCR(invox)』で読み込み、システム内で確認した後、CSV形式でダウンロードしたデータをそのまま発注書に貼り付けて作成する形に変えたそうです。作業時間は手作業時代の約3分の1に短縮され、ストレスが大幅に減ったといいます。
“AIは難しくてよくわからない”と思い込まずに、何に使われているのかどんな風に使われているのかを一回調べてみると、新しい発見があるかもしれません。
【参考】
1.ニチレイ ほほえみごはん
『本格炒め炒飯』の品質やおいしさを支える最先端のAI技術をレポート
https://www.nichireifoods.co.jp/media/32105/
2.フーズチャンネル 企業インタビュー
FAX受注の手入力作業をゼロへ。『発注書AI-OCR(invox)』で
大幅な時間短縮に成功~全国農協食品株式会社
https://foods-ch.infomart.co.jp/interview/seller/165472