「総務やさん」第1103号

●トランプ氏は任期を全うできるか?

・・・・(株)総務システムサービス
代表取締役 伊藤 碩茂(ヒロシゲ)

 世界の報道を見ていると、トランプ氏による対イラン戦争は“失敗”という結論が出そうです。特にアメリカ国内でのトランプ氏の不支持率は4月末に過去最高の62%となり、経済政策を筆頭に不満が非常に高まっている状態だと批評されています。はたして彼は任期を全うできるのでしょうか。

 冒頭で“失敗”と言いましたが、戦争に対する歴史的評価は現時点ではできません。ただ、少なくとも「短期決着で圧倒的勝利」という当初のイメージは崩れているのは間違いありません。イラン側の体制維持、ホルムズ海峡問題、原油価格上昇、停戦の不安定さなどが続き、アメリカ国民の生活にも大きな影響が出ています。

 これだけの状況において任期を全うできるか疑問に思うのは自然なことだと思いましたが、これは日本的な考え方かもしれません。アメリカの大統領制の歴史を見ると「完走する可能性の方が高い」と見るのが現実的です。理由は主に以下の3つです。

1.アメリカの大統領制
 大統領の弾劾は下院過半数だけでなく、上院でも3分の2の賛成が必要です。これが極めて高いハードルとなります。トランプ氏は過去に2度弾劾されていますが、いずれも上院で有罪になりませんでした。

2.共和党内の支配力
 不満はあっても、共和党議員の多くは依然としてトランプ氏を支持し続けています。よほど支持率が崩壊しない限り、党内クーデター的な動きは起きにくいと考えられます。

3.文化的な背景
 アメリカでは戦争が泥沼化しても、大統領が任期を完走する例は珍しくありません。例えば以下の2名は、再出馬にまでは至らなくても、当初の任期は全うしています。
・リンドン・ジョンソン:任期満了後、ベトナム戦争激化により再出馬を断念
・ジョージ・W・ブッシュ:イラク戦争批判を受けつつ任期満了まで務める
 アメリカにおいて任期途中で辞任したのは、唯一リチャード・ニクソン(ウォーターゲート事件)だけです。つまり、アメリカには「外交失敗」だけで即失脚はしないという歴史的背景があります。

 逆に、危険なのはむしろ国内経済でしょう。原油高の長期化、インフレ再燃、株価下落、中間選挙で共和党大敗などの状況になると、政権維持力は急速に弱まります。実際、「停戦延長」や「戦争終結」を急いで宣言している背景には中間選挙への焦りがあるとを指摘する批評家もいます。

 そのため、現時点においては「アメリカによるイラン攻撃は戦略的成功とは言い難い」が、それだけでは「トランプ退陣まではまだ遠い」という状況なのではないでしょうか。

 今後のアメリカ国内経済により、11月の中間選挙がどうなるかがおそらく鍵になるでしょう。



●インボイス経過措置が延長されます

・・・・河合 めぐみ(かわいめぐみ)

 先だってのメルマガにて、2026年10月より免税事業者からの仕入税額控除が「80%控除」から「50%控除」へと引き下げられますとお伝えしたことは記憶に新しいかと思います。
 ところが、令和8年度税制改正大綱でこの経過措置の適用期間が延長されました。また控除割合の引き下げペースも緩和され、2031年9月まで段階的に控除を受けられるようになります

 当初予定されていた3段階のスケジュールが5段階に細分化され、控除割合の引き下げペースが緩やかになりました。大きな変更点は、2026年10月からの2年間に「70%控除」の期間が新設されたことです。改正前は80%から一気に50%へ下がる予定でしたが、70%を経由することで各段階の減少幅が10~20%に抑えられました。

 改正後のスケジュールは以下の通りです

2026年10月1日~2028年9月30日:改正前50%⇒改正後70%

2028年10月1日~2029年9月30日:改正前50%⇒改正後50%

2029年10月1日~2030年9月30日:改正前 0%⇒改正後50%

2029年10月1日~2030年9月30日:改正前 0%⇒改正後30%

2031年10月1日~          :改正前 0%⇒改正後 0%

 緩和されるとはいえ、最終的に控除不可となることに変わりはありません。 2031年の「0%」に向けて、計画的に準備を進めていくことが大切です

 もう一つ改正があります。「2割特例」についてです。
 こちらも延長措置として「3割特例」が新設されます。適用できる課税期間は、2027年分と2028年分の確定申告です。

 インボイスの「3割特例」は、個人事業者について売上税額の3割を消費税の納税額とする特例です。今までの「2割特例」とは異なり、個人事業主のみが対象となり、法人は対象外となります。

 インボイス「2割特例」の終了に伴い、本則課税、簡易課税、3割特例を選択する必要があります。簡易課税を適用する場合の注意点として、事前に「簡易課税制度選択届出書」を提出する必要があります。また、2年間の継続適用が必要となります。

 今後、詳細な要件などが定められる予定ですので、注目して期限内に手続きを終えられるよう気をつける必要があります。