「総務やさん」第1114号

●なぜ高市総理は愛子天皇論に慎重なのか?

・・・・(株)総務システムサービス
                  代表取締役 伊藤 碩茂(ヒロシゲ)

 この問題については、「多くの国民が支持しているにもかかわらず、なぜ慎重な立場を取るのか」という点と、「高市氏自身がどのような考えを持っているのか」を分けて考える必要があります。

 高市早苗氏が一貫して説明してきた理由は、皇位継承における「男系」の伝統を維持すべきだという考え方にあります。高市氏は過去のインタビューなどで、女性であること自体に反対しているのではなく、女系天皇につながる制度変更には慎重な立場を示しています。

具体的には、次のような考え方です。

・約2000年にわたり男系による皇統が続いてきたことを重視している。
・この伝統を変えることは、皇室制度の根幹に関わる問題だと考えている。
・世論の賛否だけで決めるのではなく、歴史や制度の継続性も重視すべきだとしている。

 一方で、女性天皇や愛子内親王の即位を支持する世論調査は長年にわたり多数派という結果が多く報告されています。支持率は調査によって異なりますが、7~8割程度の支持という調査も少なくありません。

 一方で、女性天皇を認めるべきだと考える人たちは、以下のような理由を挙げています。
・皇位継承者が減少しており、現実的な対応が必要である
・歴史上にも女性天皇は存在した
・性別だけで継承資格を制限する合理性は乏しい、と考える
・皇室の安定的な存続を優先すべき

 そのため、現在の議論は大きく二つに分けられます。
・賛成派
 継承権が性別によって決まるのは現代の環境に合わない。国民の支持が高く、安定的な皇位継承にもつながるため、愛子天皇を認めるべき。

・男系維持を重視する立場(高市氏を含む)
 男系継承を維持することが皇室の正統性にとって重要であり、世論だけで変更すべきではない。

 つまり、高市氏が重視しているのは愛子内親王個人への賛否ではなく、男系継承という歴史的な原則です。国民の多数意見を知らないのではなく、反対の理由も人物ではなく制度のあり方にあると考えるのが、本人の発言に沿った見方といえるでしょう。


●2026年7月に障害者の法定雇用率が引き上げられました

・・・・河合 めぐみ(かわいめぐみ)

2026年7月より、民間企業における障害者の法定雇用率は「2.7%」へとさらに引き上げられています。対象となる企業規模も「従業員37.5人以上」へと拡大されたため、各企業にはより計画的な対応が求められています。

 この法改正への対応を進める上で押さえておきたい「企業のメリット」「助成金」「他社事例」「成功のポイント」の4つの要素を以下にまとめました。

1.障害者雇用がもたらす主な企業メリット
 障害者雇用は、単なる法的義務の遵守に留まらず、企業に多くの経営的メリットをもたらします。多様な人材の活躍は、社内の業務プロセスを見直す契機となり、業務の効率化やマニュアル化が進みます。結果として、全社員が働きやすい環境(ユニバーサルワークプレイス)が構築され、組織全体の生産性向上や企業イメージの向上(ESG経営の推進)に繋がります。

2.障害者雇用に関する助成金制度
 国は企業の取り組みを後押しするため、さまざまな助成金制度を用意しています。代表的なものとして、新規雇用時に支給される「特定求職者雇用開発助成金」や、職場定着のために専門家を配置する費用を支援する「障害者雇用安定助成金」があります。
 さらに、作業施設の改修や介助者の配置をサポートする「障害者雇用納付金制度に基づく助成金」などもあり、これらを活用することで受け入れ時の財務的負担を大幅に軽減できます。

3.取り組む企業の成功事例
 実際の成功事例として、あるIT企業では、基幹業務を細分化して障害特性に合ったデータ入力作業を切り出しました。結果、専門職の社員がコア業務に集中できるようになり、会社全体の業績が向上しました。
 また、製造業では、聴覚障害のある社員のために作業工程をすべて「見える化」したところ、外国人労働者やシニア社員のミスも激減し、全体の安全性が高まったというケースもあります。

4.成功のためのポイントと課題解決策
 現場における主な課題は、受け入れ側が「どう接して、何を任せればいいかわからない」という不安を抱く点にあります。
 障害者雇用を成功させるポイントは、経営トップが方針を明確にし、全社で理解を深めることです。まずは任せられる業務を切り出して可視化すること、そして外部の就労移行支援機関などの専門家と連携したサポート体制を築くことが、孤立を防ぎ定着率を高める解決策となります。

 障害者の法定雇用率の段階的な引き上げは今後も継続する見通しであり、企業はこれまで以上に中長期的な視点を持った人員計画と、確実な法適合への対応が必要となっています。