「総務やさん」第1081号

●高市人気は当面続くのか?

・・・・(株)総務システムサービス
代表取締役 伊藤 碩茂(ヒロシゲ)

 高市首相の人気は「一時的」なのか「当面続く」ものか、整理してみました。

1.現状
 まず現状を見てみると、非常に高い人気・支持率となっています。特に若年層を中心とした「期待」という形の支持が顕著のようです。「政策に期待」という声も多いようです。

2.ハネムーン期間
 現状の高い支持率は、政権発足直後、いわゆるハネムーン期であることを考慮に入れる必要があります。今後は「ちゃんと政策を実行できるか」により、支持率が大きく変動するでしょう。

3.政党支持率との乖離
 首相・内閣の支持率が高くても、与党・連立政党の支持率・選挙での成果に必ずしも直結するわけではないという分析があります。例えば、若年層では支持が戻ってきているものの、高齢層や組織票での問題はまだ残っている状態といえるでしょう。

4.政策実行と逆風リスク
 現在の人気がハネムーン期の「期待」で支えられている以上、物価・暮らしの不安、外交・安全保障課題などにより逆風がふくと、支持率が急落する可能性もあります。

 以上を踏まえると、短~中期であれば、高市首相の人気が持続する可能性は高いと思われます。しかし、その後は政策実行の手腕、連立・党内運営、国内外の逆風対応などが鍵になるでしょう。
 現在の「期待」を「実績」に変えることができるのか。国内の生活が苦しく世界情勢も不安な中、安定した支持基盤を築けるかどうかは今後の政権運営次第ということになります。


●効率の先にある喪失

・・・野田 貴仁(のだたかひと) 

「働いて働いて働いて働いて働いてまいります。」

 そんな決意表明が話題になったのは、高市首相の就任時のこと。年末の慌ただしさが本格化する中で、私たちも似たような気持ちで日々を乗り切っているのではないでしょうか。とはいえ、働きすぎは禁物です。効率よく、健やかに、そして少しでも人の心を動かす仕事をしたいものです。

 そのために生成AIを活用する機会も増えてきました。文案作成、議事録整理、返信文の下書きなど、AIは頼れる相棒です。ですが、先日ちょっとした違和感を覚える出来事がありました。

 ある方から届いた返信メールが、異常なくらい如才なく感じたのです。完璧な文章構成、感謝の言葉も添えられている。なのに、まったく心が動かされない。あまりに“整いすぎている”のです。
 試しに、自分が送ったメールの一部を生成AIに読ませて、「結論を先延ばしにしつつも感謝する返信を書いて」と指示してみました。すると、驚くほど似た文面が生成されました。
 さらに、返信メールの一部をAIに読ませて「これはAIが書いたものか判定して」と尋ねると、「可能性は高い」との答えが出ました。その根拠のひとつが「いたたげますと」という誤字があることでした。人間が打ち間違えるには不自然すぎる一方、AIが誤変換する可能性は高いとのことでした。

 生成AIの回答をそのまま使うことは、効率化にはつながりますが、信頼や感情の伝達を損なうリスクもあります。実際、米国ではAI依存による精神的影響が問題視され、OpenAIが提訴される事態にも発展しているようです。

 こうした背景もあり、総務省は「AIによるAI監査」システムの試作に乗り出しました。AIが生成した内容を、別のAIが評価するという構想です。信頼性や安全性を担保するための仕組みとして期待されていますが、実用化にはまだ時間がかかりそうです。

 AI活用の次のステージへ。そこに進むには、私たち自身の“心”も問われているのかもしれません。