総務やさん最新号

「総務やさん」第701号

今さら聞けないIT用語(3)
                ・・・・堀川 和幸(ほりかわかずゆき)

 身の回りに横文字やアルファベットの略語で構成された様々なIT用語が氾
濫する時代となりました。聞いたことはあるけれど、その明確な意味はなんと
なくしか分からない、というようなものが多いのではないでしょうか。
 そんな今さら聞けないIT用語の中から、今回は「VRとAR」を取り上げ
てみたいと思います。

(1)VRとAR
 このワードは近年、盛んに話題となっていることもあり、よく耳にする機会
があるのではないでしょうか。二つとも現実と仮想世界の狭間を取り払う技術
であるため、なんとなく同じような意味合いとして捉えているかもしれません
が、似て非なる言葉となっています。


・VR(Virtual Reality) :仮想現実

 VRとは、人工的な仮想世界に現実を反映させる技術のことです。仮想世界
に現実の人間の動きを反映させ、あたかもそこにいるかのごとく、また現実で
はないが現実のように感じさせる体験を提供できる技術です。
 ヘッドマウントディスプレイを装着し、360度全てに仮想世界を映しだす
とともに、現実世界を遮断することでその没入感を高め、たとえ仮想世界だと
分かっていても、現実のように感じてしまうほどのリアリティさを出すことが
可能となっています。これにより現実では有り得ないものも簡単に表現・再現
することができるのです。
 最近ではエンターテイメント業界、特にゲーム業界でのVRの活用が非常に
注目されており、1000を超えるタイトルのゲームが既にリリースされるな
ど賑わいをみせています。
 また採用活動において、VRを使って就活生にオフィスや労働現場を疑似体
験してもらうという企業もでてきているようです。
 VRの没入感をより高めるハイエンドヘッドマウントディスプレイが、技術
の進歩によって低価格化が進み、様々な分野で活用されるようになっていくこ
とが予想されます。
 皆様もVRの活用シーンを思い描いてみてはいかがでしょうか。


・AR(Augmented Reality):拡張現実

 ARとは、実際の現実の世界に仮想世界を反映させる技術のことです。現実
空間にさまざまな付加情報を表示させ、現実世界を拡張するのです。VRが現
実世界と切り離された仮想世界に入り込むのものであるのに対して、ARはあ
くまで現実世界が主体となっています。
 「拡張」という言葉が示す通り、現実世界で人が捉えている情報に、別の情
報をプラスし、現実を拡張表現する技術やその手法となります。分かりやすい
例として、目で捉えている視覚情報に、視覚だけでは感知できない位置情報な
どを付加して表示するものがポピュラーです。スマホを夜空にかざすと、その
カメラ画面上に星座の形や名前を表示させるアプリなどの活用例があります。
実際には夜空しかないのですが、そこに映像や情報を付加するという、現実世
界の拡張により、ユーザーの利便性を高めているのです。
 このようにコンピューターが作る仮想世界を現実世界に反映させて拡張させ
ることが「拡張現実」=ARとなります。


 上記のとおりVRとARを見てきましたが、現実と仮想世界の狭間を取り払
う技術にはさらにMRとSRというものもあります。

・MR(Mixed Reality):複合現実
 MRとは、現実世界と仮想世界を融合させる技術のことです。ARとは逆の
アプローチとなり、デジタル空間が主体となっています。カメラなどを通して
受け取った現実世界の情報を、CGなどで作られた人工的な仮想世界であるデ
ジタル空間上に反映します。VRの場合、現実世界を投影しないため狭い空間
でも使われますが、MRの場合は動き回ることも想定されており、より広い空
間が必要になるようです。

・SR(Substitutional Reality):代替現実
 SRとは現実世界と仮想世界を入れ替える技術のことです。現実の世界と過
去の映像などを混同させて、本来実在しない人物や出来事が現実に起こってい
るかのように錯覚させる技術となっています。一言で表すならば、現在と過去
の垣根を取り払う技術となります。

 これらのように、VR・ARそしてMR・SRの技術が相互に交わることで
今後、現実世界と仮想世界の境界線が薄くなっていくと考えられます。
 それが意味するものとは、人の得られる情報量が現在よりも格段に増加する
ということに他なりません。そして将来的に何らかの形で確実に自分達の生活
圏にも浸透してくることが想像されます。

 季節ものの野菜であっても、今や一年中いつでも手にすることができるのが
もはや当たり前と考える時代となってしまった現在。現実か仮想かといったこ
とを意識する必要がなくなる時代の到来も、そんなに遠い話ではないのかもし
れません。
 その行く末は、もはやAI(人工知能)のみぞ知る?・・・