総務やさん最新号

「総務やさん」第767号

ギグ・エコノミーと雇用
             ・・・・(株)総務システムサービス
                  代表取締役 伊藤 碩茂(ヒロシゲ)

 経団連をはじめとする大手経営者団体、組織率の低下が止められない連合、
この二つは、終身雇用と年功序列の20世紀日本型の象徴的存在です。20世
紀末から世界的に起きた雇用形態の多様化の流れから、現在では、雇用を守る
のは、政府行政でもなく、企業でもありません。

 ギグ・ワーカー(フリーランサーや独立コンサルタント)が4000万人に
達したアメリカでは、企業は次のような場合、ギグ・ワーカーを活用していま
す。
 *内部の情報や人材では得られないノウハウが欲しい時
 *期間限定で専門的なノウハウが欲しい時
 *客観的な意見が欲しい時

 ところが、日本の経営者の多くは、人手不足解消の目的でギグ・ワーカーの
活用を検討する程度です。人材不足は、派遣で賄う、汎用ノウハウは基本的に
タダで調達するのが基本姿勢です。有能な独立労働者達は、自由度や柔軟性を
大切にしています。報酬の絶対額の問題は二次的な問題なのです。
  
 本年4月が施行される働き方改革法は、結果的に日本のギグ・エコノミーを
後押しすることになるでしょう。”雇用維持”の観点から、ギグ・エコノミー
は”自分の雇用は自分で守る”ということです。

 ギグの定義は、”期間不確かな臨時の仕事”。現実社会には、このような仕
事は、あらゆる分野で必要とされています。近い将来必要とされる潜在的なも
のも含めれば、無限といっても過言ではありません。このような仕事は、報酬
を時間当たりの賃率で払う仕組みは向いていません。請負か委任が適切でしょ
う。

 諸説ある資本主義の萌芽が、産業革命ではなく、物流の発達に伴う分業の進
展にあるとすれば、極端に細分化された労働は、資本主義の悪い象徴であり、
極めて非人間的ものです。
 従って、ギグ・エコノミーの進展は、資本主義の終焉を予見するものであり、
人間を賃労働から解放するかもしれません。


働き方改革推進関連法による労働者派遣法の改正
                  ・・・・伊藤 和子(いとうかずこ)

 働き方改革推進関連法によって、労働者派遣法についても以下、3つの観
点において改正がなされました。

1、不合理な待遇差を解消するための規定の整備
2、労働者に対する待遇に関する説明義務の強化
3、行政による履行確保措置および裁判外紛争解決手続(行政ADR)の整備


1、不合理な待遇差を解消するための規定の整備について

 現在、派遣労働者と派遣先労働者の待遇差において、配慮義務規定のみであ
ったのに対し、改正後は下記(1)(2)のいずれかの確保が義務化されまし
た。
 (1)派遣先の労働者との均等・均衡待遇
 (2)一定の要件を満たす労使協定による待遇
※併せて、派遣先になろうとする事業主に対し、派遣先労働者の待遇に関する
派遣元への情報提供義務が新設。


2、労働者に対する待遇に関する説明義務の強化について

 事業主が労働者に対して説明しなければならない内容がパート、有期、派遣
社員で統一的に整備され、事業主に正規雇用労働者との待遇差の内容・理由等
の説明(労働者が求めた場合)が義務化されました。これに伴い、説明を求め
た場合の不利益取扱いが禁止となります。


3、行政による履行確保措置および裁判外紛争解決手続の整備について

 上記2と同様に事業主が労働者に対して説明しなければならない内容がパー
ト、有期、派遣社員で統一的に整備され、「均衡待遇」「待遇差の内容・理由」
に関する説明について、行政による裁判外紛争解決手続きの対象となりました。


 働き方改革推進関連法(労働者派遣法一部改正)については、大企業・中小
企業共に2020年4月1日より施行されます。

                     厚生労働省働き方改革より抜粋