「総務やさん」第1080号
●秋はぐっすり眠れる季節
・・・・河合 めぐみ(かわいめぐみ)
「秋の夜長」という言葉が象徴するように、秋は日照時間が徐々に短くなり、夜が長く感じられる季節です。夏の強い日差しが和らぎ、夕暮れが早く訪れることで、自然と静かな時間が増えていきます。この変化は私たちの体にも影響を与えています。
人間の体内時計、いわゆる「サーカディアンリズム(概日リズム)」は、太陽の光によって調整されており、日照時間が短くなると自然と眠気を感じやすくなり、睡眠時間が長くなる傾向があるとされています。
このような季節的な変化に加え、秋の気候は睡眠に非常に適しているといわれています。理想的な睡眠環境は、室温が26℃以下、湿度が50%前後とされており、秋の夜の涼しさは体温調整をしやすく、深い眠りを促す効果が期待できます。暑すぎず寒すぎない気温は、寝具の選び方にも柔軟性を持たせてくれるため、快適な睡眠環境を整えるのにも最適です。
また、朝起きたら外に出て太陽の光を浴びることで、体内時計がリセットされ、日中の活動が活発になり、夜には自然な眠気が訪れるようになります。これは、サーカディアンリズムを整えるための重要な習慣であり、快眠への第一歩です。特に秋は空気が澄んでいて朝の光が心地よく感じられるため、朝の散歩やベランダでゆったりしたひとときを過ごすのにもぴったりだと思います。
夜になると、副交感神経が優位に働き、心と体をリラックスさせる時間帯に入ります。快眠のためには、寝る前の1~2時間を穏やかに過ごすことが大切です。秋の夜長を活かして、アロマオイルを焚いたり、ハーブティーを飲んだりすることで、心を落ち着ける時間を持つのもおすすめです。他にも、お気に入りの本を読んだり、静かな音楽を聴いたりすることで、日中の緊張をほぐし、心地よい眠りへとつなげることができます。
さらに、最近の研究では、日中に適度な運動を取り入れることで、睡眠の質が大幅に向上することが明らかになっています。秋の涼しい気候の中で行うウォーキングやヨガは、体を動かす楽しさとともに、副交感神経を活性化させる効果があり、心身のリラックスにつながります。特に夕方の軽い運動は、体温の自然な下降を促し、寝つきを良くする準備にもなります。また、寝る前に行う軽いストレッチは、筋肉の緊張をほぐし、体をリラックスさせることで、より深い眠りにつくことが期待できます。
加えて、スマートフォンやパソコンなどのブルーライトを避けることも重要です。強い光は脳を覚醒させ、睡眠ホルモンであるメラトニンの分泌を妨げるため、就寝前はできるだけ画面から離れ、自然な暗さの中で過ごすことが理想的です。照明も暖色系の柔らかい光に切り替えることで、よりリラックスした空間を演出できます。
このように、秋は心身を整え、質の高い睡眠を得るための工夫がしやすい季節です。自分に合ったリラックス方法を見つけて、日々の忙しさで蓄積された「睡眠負債」を少しずつ解消していくことで、健康的な生活リズムを取り戻すことができるでしょう。秋の夜長を、心と体をいたわる時間として活用してみてはいかがでしょうか。
