総務やさん最新号

「総務やさん」第758号

『残業60時間以上、健康リスク高くても幸福度は上昇』どう思いました?
                 ・・・・吉子 泰仁(よしこやすひと)

 タイトルは今年2月の新聞見出しです。これはパーソル総合研究所と中原淳
氏が共同で2017年に行った残業実態調査の結果を報道したものでご覧にな
った方も多いと思います。この新聞報道時点では“意識や行動の不整合が起こ
っていて、正常な判断ができない状態なのではないか”と記載されていました。

 まず、上昇の要因は何だと思いますか?

 この「幸福度上昇の背景」が7月号ダイヤモンド記事に寄稿されていました。
結論は“「一致団結した雰囲気があり、終身雇用の傾向が強い組織」の中で、
「出世の見込みがある」個人が主観的な幸福度を高めていました。”と至極納
得のコメントでした。「24時間戦えますか?」と今年で発売30年になる栄
養ドリンクを飲みモーレツに働く社員を思い出す人もいるのではないでしょう
か。

 ただ、本当に幸福度が上昇しているのだろうかと思いませんか?

 実は、調査結果を見ると、幸福度を表す指標の総得点は35点で、最も高い
のが残業1時間~10時間が18.6、徐々に下がって45時間~60時間が
最も低く17.0、そして60時間以上が17.5になっています。「幸福度
が上昇」というタイトルをつけるには統計的にみると違和感ありますね。なに
か忖度が働いた?と勘ぐりたくなるところも・・・。

 まあ、長時間残業が健康リスクを顕著に高めるのが事実なので、残業が少な
く如何に生産性高く仕事をするかが重要ですね。6月末には働き方改革関連法
が可決され、「働き方」を変えることが求められるようになるうえ、「採用競
争力・定着率向上による社員の確保」の観点からも、企業として残業時間を減
らすことは喫緊の課題だと言えます。

 では、残業削減のためにどのような取り組みが必要でしょうか?

 モーレツに働く社員も一定数いる事実を踏まえると、従来の一律、○○時以
降残業禁止、ノー残業デー、PC一律シャットダウンなどといった強制ルール
だけでは、生産性の向上につながりにくいかもしれません。
 やはり各“社員”の働き方を改革する取り組みが必要になるでしょう。つま
り、個人の残業実態とその要因を把握して具体的対策を講じていくことが重要
です。

 では、一般的に残業の要因は何でしょうか?ロジックツリー風に考えてみま
した。

残業が発生する理由
1.仕事量が多い
 (1)人手が少ない
 (2)突発的(予定外)仕事が発生する/納期や期限が短くなる
 (3)無駄な仕事をしている
2.仕事を処理する時間がかかる
 (1)処理する能力やスキルが低い
 (2)手戻り、やり直し、手待ち時間が発生する
 (3)ツール、仕組みが整っていない
3.残業しようとする動機がある
 (1)帰りづらい/残業する人を評価する風土である
 (2)残業手当を得たい 
 (3)仕事の精度や完成度を高めたい

 いかがでしょうか。おそらくいくつかの要因が絡み合って、各社各職場、各
個人で残業が発生するのですが、要因に応じた適切な改善策が必要です。

1-(1)人材採用だけでなくアウトソース、派遣活用等
 (2)管理職マネジメント、割当力、顧客との調整力の向上等
 (3)無駄取り、機械・IT・システム化等
2-(1)人材育成・教育、作業の標準化等
 (2)仕事の与え方や指示の改善、業務計画・スケジュール管理の見直し等
 (3)効率のよい機械・IT・システムの導入
3-(1)職場風土改革、残業規制施策等
 (2)人事給与・評価制度見直し
 (3)生産性の意識・仕事の価値観の変革

 改善策はトップの強い意思がなければ難しいものが多そうです。くれぐれも、
「当社は経営者の意識を変えないと・・・」と言われないようにしたいもので
す。