総務やさん最新号

「総務やさん」第735号

給与(賃金)の話 第89回
                ・・・・細口 桂三(ほそぐちけいぞう)

 前回までは、「職務価値評価」について紹介してきました。 
 今回は「同一労働同一賃金」について考察してみたいと思います。

◎同一労働同一賃金

●「同一労働同一賃金」とは? 
 
 前回までの職務分析した職務を担わせる際、様々な雇用形態、身分、職群等
の人材に担わせ、賃金を支払うことになります。
 最近では「同一労働同一賃金」の観点から職務内容や労働条件に合理性が求
られる様になりました。
 現在の政権が「働き方改革」の一環として推奨している概念です。

 では、一体「同一労働同一賃金」とは何を指すのでしょうか?
 そもそも、その大元にあるものはILO国際労働機構の「同一価値の労働に
ついての男女労働者に対する同一報酬に関する条約(第100号)」にあります。

 日本は1967年8月24日にこれを批准しております。

 賃金格差については労働基準法第3条(均等待遇)で、「労働者の国籍、信
条又は社会的身分を理由として、賃金、労働時間その他の労働条件について、
差別的な取扱いをしてはならない」としています。
又、男女雇用機会均等法に第5条(性別を理由とする差別の禁止)では、「募
集及び採用について、その性別にかかわりなく均等な機会を与えなければなら
ない」とし、続く第6条では、「配置(業務の配分及び権限の付与を含む)、
昇進、降格及び教育訓練」「職種及び雇用形態の変更」「退職の勧奨、定年及
び解雇並びに労働契約の更新」について、性別を理由とした差別的取扱いを禁
止しています。

 ですが、同じ価値の仕事に対しては、同じ賃金にするべきであるという考え
方は今のところどの法律にも規定はありません。もともとは前述の男女間の賃
金差を是正するためのものとして導入された考え方です。しかし、最近では正
規・非正規間の格差是正における同一労働同一賃金の考え方に変わってきまし
た。 
 
 そこで、平成26年パートタイム労働法の差別的取扱いの禁止(第9条)に
おいて事業主は、職務の内容、人材活用の仕組みや運用などが通常の労働者と
同一のパートタイム労働者である者については、パートタイム労働者であるこ
とを理由として、その待遇について、差別的取扱いをしてはならない、としま
した。

 賃金格差の問題は、欧州諸国では非正規社員の賃金が正社員の8割程度であ
るのに対し、日本では6割と、格差があるので、これを是正しようとしたもの
です。

 では、全面的に「同一労働同一賃金」はどんなものでしょう?
欧州では、各種の職業別組合(ギルド)において、「同一職種同一賃金」が職
種ごとに確立されています。 米国も職務給において「同一職務同一賃金」が
職務毎に確立されていますが、日本は正規従業員は年功序列賃金がベースにな
っており、なかなか、一足飛びに「同一労働同一賃金」とはいかない現状があ
ります。

 これを「働き方改革」により、少しでも進めようとしていることになります。
この過渡期において、職務分析により職務と賃金の合理性を確立していく必要
性はあると思います。

 以上、今回は簡単に「同一労働同一賃金」を考察してみました。
 次回は職務内容と賃金区分方法を事例を交え紹介したいと思います。