総務やさん

「総務やさん」第876号

政治家の資質
             ・・・・(株)総務システムサービス
                  代表取締役 伊藤 碩茂(ヒロシゲ)

 6月18日、元法務大臣である河井克行氏の公判がありました。
 この裁判は、河井克行元法務大臣の妻、案里元議員が初当選した令和元年の
参議院選挙において、地元議員を含む100人に河井氏が約2900万円を配
り、公職選挙法違反の買収の罪に問われていたものです。
 東京地方裁判所は「選挙の公正を著しく害する、極めて悪質な犯行」として
河井氏に懲役3年の実刑判決を言い渡しました。

 政治と金の問題は、昔からありました。
 例えば、筆者が大学を出た頃、専攻が政治学であった縁もあり、地元代議士
の秘書にならないかという声がかかったことがあります。後に政治家になる弁
護士の友人に相談したところ、政治家を目指すには「ジバン、カンバン、カバ
ン」の三つの条件がなければ難しいと言われました。
 地盤(ジバン)=地域における権力基盤、看板(カンバン)=知名度、鞄(
カバン)=お金です。当時、選挙に立候補するためには、これらが必要だとい
うのです。特に重要なのは、カバンでした。建て前としての民主主義は、十分
”カネ”でどうにでもなるという考えが蔓延っていました。○○選に当選する
には、1票◇◇円が必要だと聞かされたこともあります。

 また、筆者の大学時代は田中角栄の時代と重なります。田中角栄は大変人気
のある政治家でした。筆者でさえ、新型コロナ危機を田中角栄に託していたら
もっと早く事態が好転したのではないかと思うことがあります。
 それほどまでに政治家としての資質を持った人物でしたが、あの時代の政治
は金権政治と揶揄され、ロッキード事件でとうとう失脚しました。

 前述のような状況を見てきたこともあり、若い頃の筆者には、公平な選挙で
選ばれた選良たちの顔が、映画で見る時代劇の悪役に見えました。

 今回の買収事件を見るに、河井氏は古き時代の金権政治の手法を受け継いだ
政治家だったのでしょう。
 金権政治を行った河井氏のことを時代錯誤的で滑稽に感じている人が多いで
あろうことを考えると、この数十年で日本人の民度は上がり、民主主義も進化
していると思うのは、楽観的すぎるでしょうか?


給与(賃金)の話 第100回
                ・・・・細口 桂三(ほそぐちけいぞう)

 前回は、新型コロナ禍での労働環境の変化であるテレワークの活用増加につ
いて紹介しました。 
 今回は「テレワークの労働時間管理についての法基準」を紹介します。

◎テレワークの労働時間管理についての法基準

●厚生労働省テレワークガイドラインの労働時間を把握する原則的な方法

(ア)客観的な記録による把握
 パソコンの使用時間の記録等の客観的な記録を基礎として、始業及び終業の
時刻を確認すること等が挙げられている。情報通信機器やサテライトオフィス
を使用しており、その記録が従業員の始業及び終業の時刻を反映している場合
には、客観性を確保しつつ、労務管理を簡便に行う方法として、次の対応が考
えられる。
1.従業員がテレワークに使用する情報通信機器の使用時間の記録等により、
  労働時間を把握すること
2.会社が従業員の入退場の記録を把握することができるサテライトオフィス
  においてテレワークを行う場合には、サテライトオフィスへの入退場の記
  録等により労働時間を把握すること

(イ)従業員の自己申告による把握
 テレワークにおいて、情報通信機器を使用していたとしても、その使用時間
の記録が従業員の始業及び終業の時刻を反映できないような場合も考えられる。
 このような場合に、従業員の自己申告により労働時間を把握することが考え
られるが、その場合、会社は以下のような措置を講ずる必要がある。
1.従業員に対して労働時間の実態を記録し、適正に自己申告を行うことなど
  について十分な説明を行うことや、実際に労働時間を管理する者に対して、
  自己申告制の適正な運用等について十分な説明を行うこと
2.従業員からの自己申告により把握した労働時間が実際の労働時間と合致し
  ているか否かについて、パソコンの使用状況など客観的な事実と、自己申
  告された始業・終業時刻との間に著しい乖離があることを把握した場合(
  ※)には、所要の労働時間の補正をすること
3.自己申告できる時間外労働の時間数に上限を設けるなど、従業員による労
  働時間の適正な申告を阻害する措置を講じてはならないこと

※例えば、申告された時間以外の時間にメールが送信されている、申告された
 始業・終業時刻の外で長時間パソコンが起動していた記録がある等の事実が
 ある場合。なお、申告された労働時間が実際の労働時間と異なることをこの
 ような事実により会社が認識していない場合には、当該申告された労働時間
 に基づき時間外労働の上限規制を遵守し、かつ、同労働時間を基に賃金の支
 払等を行っていれば足りる。従業員の自己申告により労働時間を簡便に把握
 する方法としては、例えば一日の終業時に、始業時刻及び終業時刻をメール
 等にて報告させるといった方法を用いることが考えられる。

 と規定されています。

 このように、テレワークであっても基本的には会社での通常勤務と同様、労
働時間について、客観的な記録に基づいて把握するのが原則となります。
 
 次回は、「テレワークの形態別労働時間管理」についてです。ご期待下さい。