総務やさん

「総務やさん」第785号

年金だけに頼ると2000万円不足?
             ・・・・(株)総務システムサービス
                  代表取締役 伊藤 碩茂(ヒロシゲ)
 
 今月3日金融庁は、95歳まで年金だけで生きるには夫婦で約2000万円
不足すると発表しました。挙句の果てに、資産運用の重要性を強調しているの
です。まるで、悪徳金融の片棒をを担ぐようなセリフです。

 世界の近代史を見渡せば、年金や国債に関しては、政府の国民に対する裏切
りの歴史です。筆者が、社会に出た頃、大卒の初任給は10万円でした。45
年後の今、20万円強、ほぼ半世紀で倍額です。この事実は筆者は歴史的には
奇跡だと考えています。
 半世紀、インフレらしきものがないのです。私達日本人はインフレがないの
が、当たり前の世界で生きています。高校の世界史の教科書で、第一次大戦後
のドイツでリヤカーに山盛りの札束を積んで、日用品を買う庶民の写真が載っ
ていました。筆者はその写真を見て、スーパーインフレとは、貯蓄も年金もす
べて水泡に帰すものだと教えられました。

 ”貨幣とは共同幻想である”という言葉があります。ところが私達は今更、
物々交換の時代に戻ることは出来ません。しかし、貨幣経済はいつかは終わり
ます。それがどんな時代か見てみたいのですが、SF的世界で、恐らくそのよ
うな時代まで生きることはできません。

 年金+2000万円+資産運用で長寿を乗り切りなさいなんて、政府が国民
に宣うのは、愚の骨頂です。それを言うなら、食料やエネルギーの自給率を上
げましょうとか、リサイクルやリユースを促進しましょうとか、健康でいまし
ょうとか、宣う方が余ほどまともです。

 最近タワマンの持つリスクがよく叫ばれています。極めて言いにくいのです
が、簡単に言えば、タワマンは資産価値が少ないと言っているのです。25年
ほど前のバブル崩壊で、不動産神話は崩れました。ところが20年以上かけて
神話は復活したかに見えます。しかし、第二の不動産神話崩壊が目の前です。

 私達庶民は、ある意味実体経済に回帰しなければなりません。資本主義は着
実に崩壊に向かっています。例えば、食料品スーパーでトマトを買うか、家庭
菜園でトマトを採るか?、簡単なリフォームは業者に頼むか、ホームセンター
で材料を仕入れ、日曜大工をするか?、などです。


新たな在留資格「特定技能」とは
                 ・・・・江口 稚香子(えぐちちかこ)

 昨年12月に成立した改正出入国管理法により新たな在留資格「特定技能」
が新設され、国が認める14業種で外国人労働者の受け入れが可能となりまし
た。今年4月から施行され、まずは介護業、外食業、宿泊業の3業種からスタ
ートとなりました。残る11業種についても今年度中に試験を始めるとされて
います。

 では、1993年に導入された「技能実習」と今回の「特定技能」とはどう
違うのでしょうか。
 「技能実習」は本来、日本の技術を身につけてもらい、母国の産業発展に役
立ててもらうための制度であり、「国際協力」として導入されたものです。
 しかし、その実態としては「国際協力」というよりも「人手不足の解消」の
ためにこの制度を使っている中小零細企業が多く、また、転職が原則禁止であ
り、劣悪な労働環境に置かれるなどの人権上の問題も指摘されています。

 一方、この4月から施行された「特定技能」は「人手不足の解消」を目的と
して作られた制度であり、原則として同一の業務の間での転職が可能となって
います。

 ちなみに「特定技能」として就労が可能な14業種は以下のものです。
(1)介護業(2)外食業(3)宿泊業(4)ビルクリーニング業(5)素形
材産業(6)産業機械製造業(7)電気・電子情報関連産業(8)建設業(9
)造船・舶用工業(10)自動車整備業(11)航空業(12)農業(13)
漁業(14)飲食料品製造業

 また、「特定技能」には「1号」と「2号」があり、1号では最長5年、2
号の場合は在留資格の更新の回数制限がなく、定年まで働くことができます。
また、2号については家族の帯同も可能です。ただし、現状において2号を取
得できるのは、建設業と造船・舶用工業の2業種に限られています。

 日本における外国人労働者の数は、2017年時点で約128万人。特に直
近の5年間で60万人以上増加しています。日本の労働力はすでに減少し始め
ており、日本の未来を考えると外国人労働者を受け入れていかないと成り立た
ないといわれています。
 外国人労働者本人だけでなく、その家族も含む単位で地域社会において外国
人を受け入れていくことが重要となり、そのためには、日本語や日本の文化、
ルールなどの教育も急務となっています。また、受け入れる側の日本人も外国
人の文化や習慣の違いなどを理解することが今後ますます必要となってくるこ
とでしょう。