「総務やさん」第1076号
●憧れの存在
・・・・山中 嵩三(やまなかたかみつ)
幼い頃、プロ野球が好きでした。
正直、私はあまりスポーツに興味があるわけではないタイプです。けれど、野球、特にプロ野球だけは本当に大好きでした。
推しのチームの試合を観戦することはもちろん、セ・リーグやパ・リーグの順位表、個人打撃成績や投手成績のランキングを毎日ワクワクしながら確認していました。
当時、プロ野球の情報は朝刊のスポーツ面から収集していました。
私の家では新聞が「父→母→兄→兄→私」という順番で回ってきていたため私の番になる頃には登校時間になってしまい、朝に読むことができず、学校から帰ってきた後に毎日必ずチェックしていました。
球場にもよく足を運びました。
当時、パ・リーグの球場は小人が500円、大人でも1,000円で入場できました。今考えると驚きの安さです。さらに、観客の数は目視で数えられるほど少なく、私にとって球場はいつでも気軽に行ける場所でした。
ホームランをたくさん打つ選手でも、スタンドから声をかけるとすぐに手を振ってくれました。プロ野球選手は私にとって憧れの存在でした。ただ、憧れといっても「プロ野球選手になりたい」というものではなく、最も身近なヒーローのような、そんな存在だったことを思い出します。
しかしながら、最近ではプロ野球ニュースすら観なくなったことにふと気づきました。チケットの値段が上がったうえ、以前に比べて入手しにくくなったことで、私にとってプロ野球観戦がとても敷居の高いものになってしまったからです。観る機会は減りましたが、それでもプロ野球は今も大好きです。
最近のプロ野球について調べてみたところ、やはり当時に比べて観客動員数が大きく増えていることがわかりました。2024年には、2000年と比べて年間約200万人も増加していたのです。
これは、各球団がプロ野球ファンを増やすために、積極的にさまざまな工夫や取り組みを行っていることが主な要因でしょう。
その中でも特に壮大な取り組みとして、2023年に北海道日本ハムファイターズが「エスコンフィールドHOKKAIDO」に本拠地を移したことが挙げられます。そこは単なる新しい球場ではなく、来場者がさまざまな楽しみ方ができる「Fビレッジ」という街が、プロ野球の球場を中心に作られたのです。
そう、街なのです。
プロ野球はとうとう約32ヘクタール(東京ドーム約6個分)の広大な敷地に街を作ったのです。
令和になった今もなお、プロ野球は、いつまでも誰かの憧れの存在でいられるように、たくさんの努力を重ねています。そして、値上げとともにサービスの質をしっかりと向上させることが、魅力あるコンテンツであり続けるための非常に重要なポイントだと感じました。
久しぶりに球場に足を運んで“今のプロ野球”という進化したコンテンツを体感するのもいいかもしれないと思いました。