総務やさん

「総務やさん」第834号

新型コロナ後の世界-6
             ・・・・(株)総務システムサービス
                  代表取締役 伊藤 碩茂(ヒロシゲ)

 今回は視点を変え、世界的に平和な状態が訪れるかについて考えてみます。
具体的には、独裁国家と宗教国家が乱立し、民主主義が後退する可能性につい
て考えていきたいと思います。

 近代史の中で世界制覇を目指した人物は、ヒットラー、スターリン、毛沢東
がいました。三人とも独裁者で、そのもくろみは失敗しています。
 しかし、もう少し過去に遡ると気になる人物が存在していました。有史以来
世界制覇を目指した人物であるチンギス・ハンとアレキサンダー大王です。
 筆者は、この二人は一定の側面から見ると、ある程度広域支配に成功してい
ると言えると考えています。
 前者三人と後者二人の最大の違いは何でしょうか?

 チンギス・ハンを例に、その統治行為の特徴を考えてみます。
 ・征服した地域の宗教はすべて肯定し、政治権力及び軍事力だけで統治した
 ・血縁をある程度無視し、個人の能力と忠誠心を組織マネジメントの基本に
  置いた
 ・信賞必罰は、階級に関係なく公平に実施した
 ・信教の自由を完全に保障した

 他にもありますが、大きな特徴としては上記のようなものが見られます。つ
まり、何もかもを厳しく縛るのではなく、ある程度文化の自由を認めていたと
思えます。同じく、アレキサンダー大王も異文化との融合政策を行うなど、文
化を尊重していました。

 ところが、チンギス・ハンとアレキサンダー大王と違い、前者三人は独裁者
であり、自己を受け入れない者に対しては完全否定をしたのです。
 現在、多様性を目指す流れはあるものの、新型コロナウイルス感染症の影響も
あり、あまり文化的・民族的に寛容ではない時代になっているように思います。
このままでは、もしかしたら米中の新冷戦時代が始まるのかもしれません。

 冷戦といえば、映画007シリーズを思い出します。第一作『ドクターノオ』
を初めて見たのは筆者が中学生の頃でした。あの映画の背景には、冷戦時代のア
メリカとソビエトの諍いがあります。混乱する世界の中で、ドクターノオの世界
制覇計画を、ショーンコネリー扮するジェームス・ボンドが阻止するという内容
でした。どの時代でも、意見の違いから揉め事に発展することは多々あります。

 人を傷つけない限りにおいて、宗教を含めてすべての価値観、倫理観を許容
し多様性を極限までに認める社会は訪れないものでしょうか?

 この紙面で何度も述べていますが、20世紀最大の社会心理学者エーリッヒ
・フロムのナチ批判の名著『自由からの逃走』を、筆者は学生時代に何度も読
みました。改めて、本当の意味で人間が多様性を許容するには、何百年、何千
年とかかるのだろうなと思いました。


いつ情報セキュリティを見直すか?いまですね
                  ・・・・野田 貴仁(のだたかひと)

 新型コロナウイルスへの対応の中で、急速に広がっているのが、在宅勤務と
Web会議です。セキュリティ対策をとりまとめている各種団体においても、
いくつかガイドラインが示されてきています。

 これらのうち今回は2つをご紹介します。

 1つ目は、一般社団法人ICT-ISAC(ICT Information Sharing And Analysis
Center Japan)が7月1日に公開した「家庭内で安全快適に在宅勤務を行うた
めのリファレンスガイド」です。在宅勤務を行う社員等の参考になる情報とし
てまとめたものです。
 新型コロナ禍において余儀なくされた在宅勤務ですが、緊急措置として、あ
るいは一時的な対応として導入された部分もあると思います。これを機にリモ
ートワークが定着していくと、業務の環境がオフィスから自宅にシフトするこ
とになります。ですから、自宅においても充分なセキュリティ対策を行うこと
が重要となってきます。
 ”導入することを優先した”段階から、”情報セキュリティを見直していく”
段階になった今、このリファレンスガイドを参考にするとよいかもしれません。

 2つ目は、IPA(独立行政法人情報処理推進機構)が7月14日に公開し
た「Web会議サービスを使用する際のセキュリティ上の注意事項」です。
 この資料は、米国国家安全保障局やCISAが示すアメリカの政府職員向け
の注意事項も参考にして作成されているので、Web会議サービス選定につい
ては、最も厳しい目線になっていると思います。
 とりあえずWeb会議サービスの利用を始めたけれど、使い方についての社
内ルールを作りたい場合や、すでに導入しているが今一度セキュリティの見直
しをして他のサービスと比較したい場合などに、参考になるかもしれません。

 これらの情報は、リモートワークやWeb会議といったツールを長く使って
いく状況が想定されています。利用を開始した際は今だけ使えればいいと考え
ていたかもしれません。しかし、新型コロナ禍の影響が続く中、これからも安
心して続けて利用をするための取り組みが始まっています。