総務やさん最新号

「総務やさん」第777号

民度と政治家の質
             ・・・・(株)総務システムサービス
                  代表取締役 伊藤 碩茂(ヒロシゲ)
 
 いわゆる民主主義国家において、国会から地方議会の選良と呼ばれる議員さ
ん達の質は、選挙権を持つ市民の民度に依存するのは、極めて当たり前のこと
です。簡単に言えば、民度が低ければ、良質な政治家を選ぶことはできないと
いうことです。

 筆者の幼年時代、親達は、議員の利益誘導や、買収行為を当たり前のことと
して、世間話をしていました。建て前は清廉潔白、本音は権力執着とお金儲け
が政治家の普通の姿だと原始体験のごとく理解しました。
 高校時代になると、建て前としての民主政治を社会科で習います。世界史の
先生が、バリバリの左翼系の先生で、「フランス革命が途中で頓挫したのは、
土地を得た農民が保守化したからだ・・・」と強調していたことを思い出しま
す。中産階級を小市民とかプチブルとか言ってバカにする時代でした。

 ”豊かさ”のための民主主義は、”豊かさ”を得られた時、保守化し堕落を
招く。日本の民主主義は、敗戦によってマッカーサーから頂戴したものです。
欧米のように階級闘争によって勝ち得たものではありません。筆者は、アジア
人は民主主義に向かないのではないかと思うことがあります。歳をとったせい
か、大時代的発想ですが、賢君政治に憧れるのです。

 桜田五輪担当大臣の更迭ですが、マスコミや野党は、安倍総理の任命責任を
問うているのが大半です。筆者の意見は、彼を国会議員とした大衆こそが最大
の責任者です。彼は、市井に転がっているちょっとボケが入った初老のオヤジ
と同じです。第二責任者は、彼を大臣まで登らせた利権集団です。
 しかし、この種類の問題は、政治の世界だけではありません。企業でも同じ
ことが言えます。大手、中小企業関係なく、忖度されること、ヨイショされる
ことが大好きな人たちが、会社を経営危機に陥れています。あらゆる企業、行
政、団体が、”人事”が常に最重要課題であることを肝に銘じるべきです。


給与(賃金)の話 第93回
                ・・・・細口 桂三(ほそぐちけいぞう)

 前回までは、「人事権」について紹介してきました。 
 今回からは「業務命令権」についてご紹介します。

◎業務命令権とは?

●「業務命令権」について
 業務命令は、特定の行為を使用者として明確に命ずる点に意義があります。
具体的には、工場長、部長、課長、係長など、使用者として一定の権限を与え
られている者が発するモノとされています。業務命令とは、労働契約の内容を
実現するために、特定の行為を従業員に指示又は命ずることを言います。

 従って、業務命令権は、労働契約の範囲内で認められます。業務命令は、労
務提供に関する指揮命令を中核としますが、それよりも広く、例えば調査への
協力、健康診断の受診など、労働者の本来である労務提供とは必ずしも直接に
関連しない事項をも対象とすることもあります。
 
 判例によれば、「使用者が業務命令を発しうる根拠は労働契約にあり、労働
者がその契約によって労働力の処分を許諾した範囲内の事項であれば、使用者
に業務命令権が認められる。」(電電公社帯広局事件・最一小判昭和61年3
月13日)と判示されています。
 尚、命令事項の性格や業務上の必要性などからみて、合理的限度を超える業
務命令は、許諾の範囲外として拘束力を否定されることとなります。(電電公
社千代田丸事件・最三小判昭和43年12月2日)

 又、贈賄、談合、官庁への虚偽報告などの違法行為や、選挙応援、宗教活動
など労働者の個人的自由の侵害に当たる行為も、業務命令で強制することは許
されません。

 一方、本来の労働提供義務の範囲内の作業であっても、ことさらに労働者に
不利益を課することを目的として命じられた場合には、その業務命令は権利の
濫用となり不法行為が成立することがあります。(東日本旅客鉄道事件・最二
小判平成8年2月23日)

 業務命令は、特定の行為を使用者として明確に命じる点に意義があることか
ら、その性格上、一定の権限が与えられている者(具体的には、工場長、部長、
課長、係長など)が発するものとされています。業務命令は、労働契約を前提
としていることから、この業務命令及び命令権者について疑義が生じた場合、
労働契約と命令権者の権限について確認し、問題があると考えられる場合は、
関係者の間で話し合いをもって解決することが必要です。

●方向性
 昨今は職務上のハラスメント(嫌がらせ)が社会的な問題となり、先に述べ
た人事権や業務命令権の行使の在り方が微妙になって来ており、慎重に成らざ
るを得ない傾向にあります。
 合理的な指示命令のはずが当事者間の人間関係や受取側の感情により、いと
も簡単にハラスメント化する状況です。労働の提供の在り方が上司の直接的指
示によることなく、包括的指示命令の基、自主的な業務遂行が現在主流になり
つつあります。